犬猫は人間よりもずっと歯周病になりやすい動物ってご存知でしょうか。
虫歯よりも圧倒的に歯周病になる確率が高いんです。
口内環境がアルカリ性で、歯垢から歯石に変わる期間が短いからといわれています。
歯周病は放っておくと口内の菌が全身にまわり、全身の健康状態にも悪影響をおよぼします。
- 最近、口が臭う・・・
- 口臭って、もうどうにもならないの?
- 目の下が腫れちゃった・・・!
- 犬猫に歯周病ってあるの?
こんなお悩みをお持ちの飼い主さんへ、歯周病にならないために、なっていたらどうしたらいいのか、お伝えしたいと思います。
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歯周病の原因は?
不十分な口腔衛生
犬猫も人と同じようにデンタルケアが必要です。
歯磨きをしていないと、歯垢(プラーク)は徐々に蓄積し、歯石になります。
犬猫の口臭の主な原因は、歯垢・歯石といわれています。
ワンちゃん | ネコちゃん | ヒト | |
---|---|---|---|
口腔環境 | アルカリ性 | アルカリ性 | 中性 |
歯垢→歯石に変わる期間 | 約3~5日 | 約7日 | 約20日 |
品種
密集した歯や並びの悪い歯は、小型犬によくみられます。
重度な歯周病は特にM・ダックスに多い印象です。
年齢
3歳に達するまでに、犬の80%、猫の60%がなんらかの歯に関する病気の症状を示します。
口腔内の傷
犬猫の歯は尖っているので、固いもの(固いおもちゃ、蹄などのオヤツ)や尖っているものを噛むと、歯ぐきに傷がついたり、歯が折れてしまうことがあります。
最近人気の、”鹿の骨”や、”豚の蹄”などは固すぎて歯が欠けてしまうので、与えない方が良いです。
細菌の繁殖
歯の間に挟まった食べカスなどが原因で細菌が繁殖します。
特に、ウェットフードなどやわらかいご飯は、歯や歯ぐきにフードが残りやすいので、歯周病にもなりやすくなります。
歯周病の症状は?
- 口臭
- よだれがでる
- 歯が抜けた
- 黄色い歯石がついている
- 食べる時痛そうにしている
- 歯ぐきの炎症、出血
- 口を床にこする、足でかく
- 食べたそうにしているが、食べれない
- 目の下や顔の腫れ、出血
- 歯ぎしりをする
- …etc
今回詳しくはお伝えはしていませんが、猫の場合は口内炎が原因で、口が痛くて食べなくなる事が多々あります。
猫の口内炎について別記事で詳しくお伝えしていますので、猫ちゃんの飼い主さんは是非ご覧ください↓↓↓

歯周病の進行

菌膜⇒(24時間後)歯垢⇒(2、3日後)歯石
何もしなければ、犬の場合3日で歯石が形成。
歯垢と歯石:歯肉炎・歯周炎(骨にまでおよぶ炎症)の原因となる
炎症によって細くもろくなった顎の骨は、骨折をおこしやすくなったり、鼻や目に炎症が波及することもあります。
他にも、歯周病をそのまま放置すると、歯が抜けてしまったり、歯周病菌が血管を通って心臓や腎臓などの内臓疾患を引き起こす原因となります。
歯周病の治療方法は?
歯周病の動物病院でおこなう主な治療法です。
内服薬の処方
症状が軽度な場合や、高齢や他の病気で麻酔をかけられない場合は、抗生物質で様子をみます。
(歯石がなくなるわけではないので、対症療法であり根本的には解決しません)
全身麻酔をかけて歯石除去・抜歯

動物病院で、全身麻酔下で歯石、歯周ポケットのクリーニング、ぐらついている歯を抜歯します。
ここで大事なのが、歯石取りをしてくれる動物病院がどこまで正しい知識で処置を行っているかです。
スケーリング(歯石除去)処置のみですと、その後歯石が付きやすくなってしまうため、スケーリング後に
- ポリッシング(歯面研磨)…研磨剤を用いて歯面を磨き、歯面のザラつきをなめらかにして、歯垢の蓄積を防ぎます。
という処置を行うことが大切になってきます。
かかりつけの病院で歯石除去を行う時は、念のためポリッシング処置を行っているか確認してからお願いした方が良いかもしれないです。
そして歯石を取ると感動するくらい歯がキレイになりますが、いくらポリッシングをして磨いていても、自宅で何もしないとやはり数か月で歯石がついて元に戻ってしまうので、その後のホームデンタルケアがとても重要になります。ホームデンタルケアについては後述します。
ホームデンタルケア
子犬、子猫の頃から歯みがきなどホームデンタルケアを行うようにすると、歯周病の予防になります。
ですが成犬成猫になった後でも、フードやガム、サプリなどなんらかのケアをすることで歯周病にならないよう、歯周病が悪化しないよう対策をすることができます。
ですがデンタルケアグッズはたくさん販売されていてどれが良いのか、どんな方法が良いのかわからなくなっちゃいますよね。
以下は病院でおすすめしているデンタルケア方法の一覧です。
- 歯磨き
- 歯磨きシート
- デンタルジェル
- サプリメント
- デンタルフード
- デンタルガム
歯周病の予防で一番大切なのは歯磨きです。
本当は毎食後に歯磨きをするのが理想ですが、中々難しいと思いますので、なるべく1日1回の歯磨き、そしてなにより継続する事が大切になります。
歯磨きが難しい場合は、デンタルガムなどを一日1本与える、デンタルサプリを与えるなど、何かしら自身ができるデンタルケアを行ってあげてください。
ホームデンタルケアについては、別記事で数回に分けてお伝えしています。
飼い犬、飼い猫に合った方法で、デンタルケアを行う事をおすすめします。

重度の歯周病になっている口の中を歯磨きしても、痛がって余計に今後歯磨きをさせなくなってしまいます。
口が腫れるなど、歯周病の症状がすでにある場合は、動物病院で歯周病の治療を行ってから、ホームデンタルケアを行うようにしましょう。
まとめ
今回は犬猫の歯周病についてお伝えしました。
数年前には、口腔内の状況がどれくらいかスコアで診断することができる”ADplit(アドプリット)”という測定キットも新しく発売されました。
もし興味のある方はかかりつけの動物病院に問い合わせてみてください。
歯石が多い=重症というわけではないので、目では確認できない重症例を早期治療するためにも、積極的にこういった診断キットを活用する事をおすすめします。
日頃から口の中をチェックしていると、歯周病、口腔腫瘍など病気にも気付きやすく、早期発見・早期治療に繋がります。
適切な知識をもって、楽しくペットとデンタルケアを行っていただければと思います。
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
高年齢で抜歯を行うと、ほとんど歯が残らなくて”ご飯が食べられなくなるかもしれない”と心配される飼い主さんがいらっしゃいますが、ドライフードをふやかして与えたら問題なく食べる事ができます。