膵炎やタンパク漏出性腸症、リンパ管拡張症など消化器の病気の治療には、脂肪を制限した低脂肪食の食事療法が有効です。
低脂肪フードというのは、ヒルズやロイヤルカナンなど有名メーカーからも販売されています。
しかし、膵炎などの消化器疾患で調子が悪い時は食欲がなく、ドライフードを与えても食べないことが多く、飼い主さんの頭を悩ませます。
今回は、上記にあげた病気の時に与える手づくり低脂肪ごはん、与えても大丈夫な低脂肪の食材についてお伝えします。
- 低脂肪のドライフード、ウェットフードを食べない
- 療法食を与えても症状があまり改善されない
- そもそも食欲がない、食べない
- 膵炎の時に何を与えたら良いかわからない
こんなお悩みをお持ちの飼い主さんへ、お伝えします。
(参考文献:ロイヤルカナンベテリナリーシンポジウム2020 皮膚と消化器より)
こんな人が書いてます→プロフィール
ドライフードに食材をトッピングしたら食べてくれる、というわんちゃんの場合は、ドライフードは以前ご紹介した低脂肪のフードをおすすめします↓↓↓

超・低脂肪食レシピ
(他の治療を行ったうえで)低脂肪の療法食だと症状があまり改善しない、療法食を食べてくれないワンちゃんには、手づくりで超・低脂肪食を与えるのをおすすめします。

鶏ささみ(1):じゃがいも(さつまいも)(1):白米(1)
タンパク質を必要量の1/3、炭水化物を必要量の2/3与えるようにします。
基本は、
- 鶏ささみ
- じゃがいも(さつまいも)
- 白米
4種類を、加熱処理して与えます。
サプリメントについては後述します。
1日に与える量(必要量)
- 必要エネルギー(1日量):安静時必要エネルギー(RER)×1.5
- RER=体重×体重×体重→電卓の√を2回押す→×70
- 割合:タンパク質(1):炭水化物(2)
- 鶏ささみ(生):100g=105kcal(1本43~60g)
- じゃがいも(生):100g=80kcal(中サイズ50~150g)
- さつまいも(生):100g=130kcal
- 白米:150g(1合):570kcal→炊くとごはん340g、茶碗大盛り2杯
体重 | 必要カロリー(1日) | 鶏ささみ | じゃがいも(さつまいも) | 炊いた白飯 |
---|---|---|---|---|
3kg | 240kcal | 75g | 100g(62g) | 50g |
5kg | 350kcal | 110g | 145g(90g) | 70g |
8kg | 500kcal | 160g | 210g(128g) | 100g |
10kg | 590kcal | 180g | 240g(150g) | 115g |
*じゃがいも・さつまいもの量は、それぞれ【鶏ささみ・じゃがいも・炊いたご飯】の3品で与える場合の量です。
4品与える場合は、じゃがいも、さつまいもは記載されている量の半分の量にして与えてください。
例)3kgの子の場合、【鶏ささみ76g+じゃがいも50g+さつまいも31g+炊いたご飯50g】になります。
低脂肪のトッピング食材
◎→おすすめ低脂肪食材
〇→食べてもOKだが量は多く与えない
△→食べてもOKだがたまに与える位にする
<肉>
鶏ささみ◎
鶏むね肉〇
鶏ハツ〇
馬肉〇
鹿肉〇
鴨肉◎
<いも・穀類>
じゃがいも◎
さつまいも◎
里いも〇
長いも〇
白米・雑穀米◎
うどん△
<魚>
たら◎
たい〇
まぐろ◎
かつお◎
カレイ〇
<果物>
りんご〇
もも〇
みかん△
いちご〇
すいか△
<野菜>
かぼちゃ◎
にんじん〇
キャベツ◎
白菜◎
トマト〇
きゅうり△
<その他>
カッテージチーズ〇
おすすめサプリメント
ささみやじゃがいもだけだと栄養が偏ってしまうため、足りない栄養素はサプリメントで補います。
どちらもリキッド(液体)なので、フードにかけてもOK,直接飲ませてもOKです。
ペットチニック 犬猫用 30mL
FCVリキッド 30ml
手づくりごはんが大変な方には
毎日手づくりのごはんを考えて調理して与えるのは、とても大変なことだと思います。
そんな方には、市販の缶詰の”デビフの缶詰シリーズ”をおすすめします。
- デビフ ささみ&軟骨 85g×6個
- デビフ ささみ&さつまいも 85g×6個
- デビフ かつお白身 白米入り 150g×6個
- デビフ まぐろ白身 白米入り まぐろ 150g×6個
- デビフ ささみの角切り 野菜入り 150g×3個
- デビフ 若鶏のささみ&さつまいも 100g×6個
上記の缶詰は比較的低脂肪で嗜好性も高く、よく愛犬に与えていました。
すぐに食べ飽きてしまったり、食欲がない、食が細い子は、
- デビフ缶詰
- 手づくり超低脂肪ごはん
- 低脂肪療法食
を混ぜてローテーションしながら、なんとか食べられるものを与えるのがベストかなと思います。
まとめ
今回は手づくりの低脂肪食をご紹介しました。
実際に私の愛犬が膵炎になったときは、様々な低脂肪食材を組み合わせて、たまにはおかゆ風にしたり、リゾット風にしたり、調理方法も色々変えて与えていました。
(基本は消化に良いように茹でて与えています)
これだったら食べてくれるかな?と作ったものを一口も食べてくれないときはちょっとせつなくなったりもします;
それでも、何か少しでも食べてくれた時は本当に嬉しくなり、ほっと安心するんですよね。
今回の内容が、膵炎やタンパク漏出性腸症、リンパ管拡張症などの消化器疾患でお困りの方の参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
超・低脂肪食のみを長期的に与えると、どうしても栄養バランスが崩れてしまうので、ビタミンやミネラルのサプリメントを混ぜる、もしくは療法食(低脂肪食)を食事に混ぜ、体調をみながら徐々に療法食の量を増やしていった方が良いでしょう。