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犬の”嘔吐”は様子をみない方が良い理由|Mダックスの膵炎

飼い犬が1日に何度も吐く、下痢をする、食欲がない、こんな症状になったときは1日2日と様子を見ずにすぐに動物病院へ連れて行ってあげてください。
日に何度も嘔吐=膵炎の疑いがあります。
もし夜から何度も吐いている、という状況なら翌日の午前中には病院へ行きましょう。

膵炎は症状が重く犬自身がつらくなる上に、慢性化すると本当にやっかいな病気です。
今回は近年増え続けている病気、犬の膵炎についてご説明します。

  • 犬の膵炎ってどんな病気?
  • 膵炎の治療法は?

昨年14歳で虹の橋を渡った私の愛犬(Mダックス)も、この”膵炎”を何度も繰り返していました。
その時の経験をふまえて今回は、飼い犬が膵炎になっている、膵炎になったことがある飼い主さんへお伝えします。

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膵炎ってどんな病気?

膵臓(すいぞう)から分泌される消化液が活性化され、膵臓自体やその周りの組織を消化、炎症を起こしてしまう病気です。

膵臓の役割:消化液の分泌、血糖値の調整などを行う臓器

重症例の生存率は50%程度という報告もあります。
また、急性膵炎が治らず、慢性膵炎となって一生この病気と闘わなければいけない場合もあります。

どんな症状になるの?

  • 激しい嘔吐(1日に何度も吐く)
  • 食欲・元気がない
  • 軟便・下痢・血便をする
  • じっとうずくまっている
  • 腹痛
  • etc…

膵炎になったら激しい嘔吐が症状としてあらわれますが、何か別の原因で嘔吐が続くと吐くことが原因で膵炎を発症してしまうこともあります。

どうして膵炎になるの?

はっきりとはわかっていませんが、以下のような原因が考えられます。

  • 高脂肪食
  • 肥満
  • ストレス
  • 食物アレルギー
  • 高脂血症
  • 免疫疾患
  • ホルモン疾患
  • etc…

犬種はMシュナウザーに多いといわれています。
私の職場では、飼育頭数が多いのもありますが、高齢のMダックスに多い印象です。

膵炎の診断方法は?

他の病気と区別しにくい症状が出るため、複数の検査を組み合わせて総合的に判断します。

  • 血液検査(一般検査・CRP検査(炎症反応を調べる検査)・犬膵特異的リパーゼ検査)
  • レントゲン検査
  • 超音波エコー検査

昔だと原因不明の病気が、昨今は犬膵特異的リパーゼ検査により、病名を診断できるようになりました。
検査キットがある病院だと、大体20分~30分以内には結果が出ます。

治療はどんな方法があるの?

点滴・注射

入院、もしくは通院で、脱水の改善や血液循環の改善のために、点滴治療を行います。
治療は数日~数週間かかります。

急性膵炎のための抗炎症作用のある注射、”ブレンダZ”が2018年に発売されました。
世界で初めて承認された犬用の膵炎の抗炎症剤です。
犬の膵炎に効果的であるとされ、現在はこの注射剤を使用する病院が増えましたが、価格が高いのと、5日間毎日注射をしないといけないので飼い主さんは大変です;

内服薬

激しい嘔吐と腹痛が伴うことが多いので、吐き止めや痛み止め、胃腸薬や抗生剤などを飲み薬として処方します。

食事管理

低脂肪食を与えます。
昔は膵炎になったら断食する、という治療がスタンダードでしたが、現在は食欲がない場合でも低脂肪の流動食などを与えた方が良いとされています。(消化器低脂肪リキッドなど)

膵炎を再発する子は、治療中だけではなく、普段から予防のためにも低脂肪食を続けましょう。

膵炎になると食欲がなくなるので、食べさせることに本当に苦労します;
低脂肪食については、低脂肪の療法食と手作りフードについてを別記事でご説明していますので良ければご覧ください↓↓↓

おすすめ低脂肪フード4選|犬の膵炎と食事管理|食欲がないときの対処法犬の膵炎や、下痢、嘔吐、リンパ管拡張症などの消化器疾患の時におすすめの低脂肪のフードを解説しています。膵炎を発症したときや、再発する場合には低脂肪食を継続して与える事をおすすめします。実際に動物病院で全て使用している安心・安全なフードをご紹介しています。...

膵炎時の低脂肪の手づくりごはんについてのお伝えしている、当ブログ一番人気の記事です↓↓↓

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さいごに

今回は犬の膵炎についてお伝えしました。
高齢のワンちゃんが発症することが多いので、心臓病や腎臓病など、他の病気を併発している場合もよくあります。

私の愛犬は、腎不全と膵炎を併発していました。
その場合も、フードは膵炎を優先して、低脂肪食を与えていました。
(低脂肪食の中でも、なるべく低タンパクなものを選びます)

膵炎になると飼い主さんも毎日病院に通ったりと大変ですし、何より本人が痛くて苦しそうなのが見ていても辛いです。

急に何度も吐いたり、下痢が続いたら早めに病院へ連れて行ってあげてください。
早期に治療ができると、治りも早くなります。
重度な膵炎の場合や、膵炎を繰り返す場合は、治療と並行して食事管理を行うようにしましょう。
次回は、膵炎時の食事(フード)についてお伝えしたいと思います!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

ABOUT ME
カオリ
北海道の動物病院に勤務する、動物看護師です。 犬、猫、動物を愛しています! ペットと飼い主さんの笑顔が増えるよう日々研鑽しています。 暮らしに役立つペット情報や犬猫の病気・フード・介護の事などをわかりやすくをモットーに発信しています。 ペットと一緒にハッピーライフを^^