こんにちは、カオリ(@Happy_PetLife)です!
最近散歩や運動を嫌がる、興奮すると咳がでる、愛犬にこんな症状はありませんか?
それ、心臓の病気かもしれません。
今回は高齢の小型犬にとても多い心臓の病気、”僧帽弁閉鎖不全症”について、お伝えします。
- 犬の心臓の病気ってどんな病気?
- 何かしてあげられることってある?
- 心臓病で気を付ける事ってなんだろう?
こんなお悩みをお持ちの方へ、大切な愛犬のために飼い主さんができることをアドバイスできたらと思います!
こんな人が書いてます→プロフィール
参考資料:『わんちゃんと心臓のおはなし』藤井洋子先生監修
僧帽弁閉鎖不全とは
健康な心臓は肺で酸素を補給した血液を全身に送り出す役割をしています。
しかし、この病気になってしまうと血液を全身に十分送り出すことができなくなり、血液が逆流してしまうことがあります。
例えると、古いお家の扉を想像してみてください。
お家に4つの部屋(心臓)があり、ある部屋の扉(僧帽弁)が古くなって変形してしまう事で、きちんと扉が閉まらなくなったり、逆方向に扉が開いてしまい空気の流れが変わる状態が、僧帽弁閉鎖不全です。

通常、心臓の音は人と同じく”ドクンドクン”と胸に耳をあてると聞こえますが、症状が重度の場合は、胸を触るだけで、”ザーッザーッ”といった血液の流れがわかります。
逆流した血液の影響で肺に水がたまりやすくなり、肺に水がたまると息が苦しくなります。
(溺れているような感覚)
なりやすい犬種
8歳以上の小型犬に多い病気です。
- キャバリア
- チワワ
- シーズー
- トイプー
- マルチーズ
- ポメラニアン
- Mダックス
- etc…
症状
- 咳(興奮時→安静時)
- 寝てばかりいる
- 疲れやすい
- 呼吸が早い、苦しそう
- 食欲不振
- 散歩中あまり歩かない
- 走らない
- 舌の色が紫色(チアノーゼ)
- 急に倒れた
- 呼吸困難(肺水腫)
- etc…
よくおじさんがするような、痰(たん)が絡んだような咳をする場合は、心臓の病気の可能性が高いです。
初期段階では、飼い主の帰宅時や遊んでいる時など、興奮した時に息切れや咳が出ます。
治療
治療をして完治することがない病気なので、症状を緩和する、進行を抑えるための投薬が主な治療になります。
心臓の手術をする場合もありますが、大学などの設備が整った限られた施設のみで行っています。
- ACE阻害薬:血管を広げ血圧を下げる・心臓肥大を抑制する・腎臓の機能を守る作用。
- 強心薬:心臓の収縮力を高めることにより、全身の臓器や組織に送る血液の量を増やす。
- 利尿薬:体の余分な水分排泄をうながす。
- 血管拡張薬:血管を広げることで、心臓が収縮して血液を血管に押し出しやすくなる薬。
進行ステージと症状・治療法
ステージを全5段階に分けます。
今現在、自分の愛犬がどのステージにいるか、照らし合わせてみてください。
進行度 | 診断 | 症状 | 治療法 |
---|---|---|---|
ステージA | 異常なし | 元気 | 普段通り |
ステージB-1 | 聴診で心雑音あり | 元気・目立った症状はなし | シニアフード |
ステージB-2 | レントゲン検査で心臓が大きくなっていると診断 | 元気・目立った症状はなし | 緩やかなナトリウム摂取制限(シニアフード・塩分の多いおやつを控える)・ACE阻害薬 |
ステージC | 心臓がとても大きい。肺のうっ血(血がたまった状態)がある | 咳・元気がない・疲れやすい・呼吸が苦しそう・チアノーゼ(舌の色が紫) | ナトリウム摂取制限・タンパク質・カロリー摂取 ACE阻害薬・強心薬・利尿薬 |
ステージD | 血液の流れが悪く薬を飲んでも肺のうっ血がある | 安静時でも咳・食欲がない・呼吸困難・肺水腫・腹水・失神 | ナトリウム摂取制限の強化 ACE阻害薬・強心薬・利尿薬・血管拡張薬 |
自宅でできるセルフチェック
病気の進行度がわかる、自宅で飼い主さんができる愛犬のセルフチェックです。
✅安静時の呼吸数に注目:
肺に水がたまると「安静時呼吸数」が増えてきます。自宅で寝ている時やリラックスしているときの1分間の呼吸数を測ることで、病気の進行に気付くことができます。
『吸って』『はいて』の1セットで1回とカウントし、15秒数えてそれを4倍します。
通常、安静時呼吸数は10~30回が目安です。40回を超える場合は病院に相談しましょう。
✅舌の色の確認:
舌の色は全身の血の流れを表しています。舌の色が白っぽかったり、紫色(チアノーゼ)の場合は酸素吸入などの処置が緊急で必要になります。
暮らしの中で気を付けること
心臓の悪いワンちゃんに、飼い主さんが普段から気を付けてあげる事、できることをまとめています。
- 太らせない、が前提で、ダイエットさせない
まず第一に太らせない事が大切ですが、既に肥満で心臓病になっている子は、ダイエットをすると心臓の筋肉まで落ちてしまうので、過度なダイエットは厳禁です。
太りすぎている子は多少痩せた方が良いですが、ぽっちゃりさんはダイエットさせないようにしましょう。 - 温度と湿度管理
部屋の温度と湿度に気を付けてあげてください。特に、ステージC以上の子は夏場のエアコンは必須です。エアコンがなければポータブルでも良いので設置してあげてください。室温は人が肌寒く感じる位(25℃以下)低くします。湿度もなるべく60%以下に保ちましょう。 - 食事管理
体に余分な水分がたまらないように、塩分を控えたり、心臓に必要な栄養素を補給するなど、適切な食事管理(療法食)を行います。 - 適度な運動
適度な運動も大切です。呼吸困難など、呼吸が苦しい場合は絶対安静ですが、症状が軽度の場合はゆっくりお散歩する程度の運動はさせてあげましょう。心臓が悪いから・・・と今まで行っていたお散歩を止めてしまうと筋肉も落ちてしまいますし、ストレスにもなって心にも体にも良くありません。 - 興奮させない
飼い主の帰宅時など嬉しいときは中々難しいかもしれませんが、帰ってきたらすぐに抱き上げるなど、なるべく興奮させないようにしましょう。インターホンなど、吠える状況もなるべくつくらないようにします。 - 酸素吸入
呼吸困難で、高濃度の酸素がないと日常生活で呼吸が苦しいワンちゃん(ステージDレベル)は、酸素ボックスのレンタルという方法があります。ある程度動物病院のICUで落ち着いたあと、自宅に酸素ボックスを設置してその中で生活するワンちゃんも多くいます。
食事管理に関しては、また別記事で詳しくご説明します。
まとめ
今回は犬の僧帽弁閉鎖不全症についてお伝えしました。
心臓の病気は命に関わります。
昨日までは普通だったのに・・・が本当に多い病気ですので、何か異変があったら夜でもすぐに夜間診療をしている救急病院へ連れて行ってあげてください。
明日病院へ行こう、だと手遅れになってしまう場合があります。
ここ1か月位は、エアコンのないお家のワンちゃんが暑さと湿度で調子が悪くなる子が本当に増えています。
心臓の悪いワンちゃんは特に暑さ対策、熱中症対策を気をつけてあげてください。
今回の内容が、心臓病のワンちゃんを飼われている飼い主さんのお役に立てれば嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
