シニア犬の介護の中でも、愛犬の夜鳴き問題でご相談を受けることがとても多いです。
- 飼い犬が夜に鳴くのでまともに寝られない
- 鳴き声が大きく近所迷惑になる
夜鳴きは深刻な問題で、”寝られない”、”ご近所トラブル”になってしまう”など、飼い主さん自身に大きなストレスがかかります。
私自身も、数年前に愛犬の介護をしていた時は、なるべく夜遅くまで愛犬に付き添い、朝早く起きるという生活を送っていました。
自身がやれるだけのことはしてあげたい、辛くないようにしてあげたい、という思いからでしたが、当時は睡眠時間も短く仕事との両立が本当に大変でした。
それでも今思い出すのは一緒にいて楽しかった、可愛かった愛犬の姿です。
今回は、どうしたら夜に寝てくれるのか、夜鳴きを減らすことができるのか(+排泄のコントロール)をお伝えしています。
今回の内容が、現在愛犬を介護している飼い主さまにとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
(動物行動の専門医である入交眞巳獣医師のセミナーを参考にさせて頂いております)
*以下、別記事に他の介護テクニックをご紹介していますので、良ければ↓もご覧ください。
- 寝たきりの床ずれ対策
- 食事のテクニック
- 夜鳴きやトイレのコントロール
- 徘徊行動の対策
- 認知症の予防法
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夜鳴きの原因は?調子が悪い?
どうして夜鳴きするのか、なんらかの”病気が原因”で夜鳴きしている場合もあります。
まずは病気がないか動物病院で診察してもらうのをおすすめします。
それをふまえて、夜鳴きの原因には治療を行えば改善するもの
- どこか身体が痛い
- 脳腫瘍やホルモン疾患などの病気
- 薬の副作用
環境や精神的面が原因となっているもの
- 身体が思うように動かないことへの不満
- かまって欲しい
- 寒い暑い
- お腹がすいた
- 起き上がりたい
- トイレにいきたい
- 不安
など、様々なことが考えられます。
環境を改善できる6つのポイント
考えられる病気がなかったら、まずは以下の環境改善を行ってみます。
- 室温:寒さに敏感になるので、寒くないか逆に暑くないか室温に気を付けます。
冬場であれば保温マットの使用も良いですが、寝たきりで動かない子への使用は身体が熱くなりすぎるため、特に気を付ける必要があります。 - 寝床:ベッドを高反発もしくは低反発のマットレスに変え、寝床を改善します。
マットレスに関しては、別記事にて詳しくご紹介していますので下記をご参照下さい。 - 排泄:夜寝る前にトイレに連れていきます。
排泄のコントロールについては、本記事下記にてご説明しています。 - 食事:朝(昼)ごはんを少量もしくは与えないようにし、夜寝る前にごはんをたくさん与えるようにします。
お腹がすいて夜鳴きすることもあるので、寝る前にたくさん与えて、お腹いっぱいの状態で寝てもらいます。 - 運動:歩けるワンちゃんは日中や夕方にお散歩に連れていき、なるべく日中起きてもらうようにします。
歩かない子でも、抱っこやカートなどでお外に連れて行ってあげましょう。
ずっと家の中にいるより、外の匂いや風を感じるなど、何か刺激を与える事が大切です。 - たまにペットホテルや病院、老犬ホームなどに預ける
②の介護用マットレスに関しては、以前お伝えしているので良かったら参考にしてみてください。おすすめ記事です!

たまにはシニア犬を預かってくれる病院やペットホテルを利用するのも、飼い主さんのリフレッシュになって良いかと思います。
おすすめ5選|抗酸化成分が含まれるサプリメント・フード
脳は酸化の影響を受けやすい(ダメージが大きい)器官です。
抗酸化成分の経口摂取は効果が認められており、実際に抗酸化成分が含まれるフードを食べていた犬の方が食べていない犬より2.8倍認知症の発症率が低かったというデータもあります。
抗酸化成分が含まれるサプリやフードの一例をご紹介します。
メイベットDCは粉薬になります。
サプリなので副作用もなく、高齢期に入ったら予防的に飲ませてあげるのも良いかと思います。
ウェットフードやふやかしたドライフードに混ぜて与える事をおすすめします。
- サイエンスダイエット”トータルケア機能”
- ピュリナ”ニューロケア”(動物病院専売)
サイエンスダイエットのトータルケア機能はシニア犬にはとてもおすすめフードです。
シニアになってフードに迷っている飼い主様は、まずはこのフードを第一選択に考えて良いと思います。
身内のにゃんこさんがこちらのトータルケア機能のキャットフードを食べていますが、シニアライトや早期腎臓ケアなど数種類与えている中で一番食いつきが良いそうです。
詳しくは”シニア犬の介護に役立つテクニック”第5弾で認知症予防についてご説明しますので、その際にまとめてお伝えしたいと思います。

おすすめ2選|抗不安作用のあるサプリメント・漢方
不安で吠えてしまう、夜に中々寝てくれない子に良いサプリメントと漢方をご紹介します。
- ジルケーン(75mg/225mg)
- ミルク由来の天然成分
- 長期使用可能
- 夜鳴き対策には、記載されている量より多く与えた方が効果が出やすいです
体重 | 75mg/225mg | 与える量 |
---|---|---|
2.5kg | 75mg | 1カプセル |
5kg | 75mg | 2カプセル |
8kg | 225mg | 1カプセル |
10kg | 225mg+75mg | 各1カプセルずつ |
ジルケーンで効果がでにくい場合は、漢方をご紹介します。
ペット用ではなく、ヒト用の漢方です。
- 抑肝散 (ツムラ54番)1包約1.9g
不眠症などに効果のある漢方です。
1日2回、以下の量を与えてください。- 10kg以下の小型犬は1回量が約0.6g(1/3包)
- 10kgの犬で1回量が1.25g(2/3包)
- 大型犬は1回量が2.5g(1包+1/3包)
薬物療法
サプリやフードでも効果が出にくい場合は、最終的には眠剤などのお薬を一緒に飲ませます。
- 認知症の薬
- 抗不安剤
- 抗うつ剤
などを使用して、半強制的に眠ってもらう方法があります。
おそらく最終的には薬物療法になる子がほとんどかなと思います。
実際に私の飼い犬も、眠ってもらうために最終的にはお薬を飲ませていました。
やはりサプリよりは効果はでやすいですが、副作用などがありますので、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
(おまけ)排泄のコントロールについて、おすすめグッズ
高齢になると膀胱の収縮力が弱まり、トイレの間隔が短くなります。
その結果、今までちゃんとトイレ場所で排泄できていたのが、間に合わなくて粗相してしまう事が増えてきます。
など対策をしてあげます。
オムツは着ける習慣のないワンちゃんは初めは嫌がるかもしれませんが、着けていると徐々に慣れてきます。
お仕事等で頻繁にオムツを変えてあげられない場合は、ユニ・チャームから販売されているマナーウェア、長時間オムツがおすすめです。
*ご購入の際はサイズにお気をつけください。
オムツを長時間つけているとどうしても陰部周りが汚れてしまったり、蒸れたり擦れたりとオムツかぶれを起こしやすいです。
排泄後は体を温かいタオルで拭いてあげ、なるべく1日数時間位は、オムツをつけない時間帯をつくってあげましょう。
フレンチブルなど短毛や尻尾の短い子はオムツが外れやすいので、その場合はサスペンダー付きの介護用パンツや、オムツの上に服を着せると脱げません。
介護用のお洋服例↓
病院でよく扱っているのは、”full of vigor”というブランドのものですが、値段がお高めなので、汚れや破れなどで何度か買いなおすことを考えるともうちょっと安いものを何着か用意した方が良いかもしれません。
もし、排泄を失敗しても”叱らない”であげてください。
若い頃によくある、わざと失敗して飼い主の気を引こうとしているのではなく、高齢犬の場合はトイレが間に合わなかったり、トイレの場所がわからなくなって粗相してしまう事が殆どです。
外でしか排泄をしないワンちゃんは、家の中でも排泄できるようにシニア期に入ったらトレーニングをすることをおすすめします。
ちなみに、若い頃から『トイレ』という声掛けが”『トイレ』=排泄(排尿)”につながるようになると、どこかにお出かけする時などに事前に排泄してもらうのにとても便利ですよ。
まとめ
今回は夜鳴きについてメインにお伝えしました。
環境を少し変えたり、食事のタイミングを変えるだけで止まる子もいますので、まずは試行錯誤しながら色々試してみるのが良いと思います。
夜鳴きでまいってしまう飼い主さんは本当にたくさんいらっしゃいます。
無理はしないで、最後はお薬を頼りましょう。
薬に抵抗がある飼い主さんもいらっしゃいますが、そのワンちゃんの面倒を見ている飼い主さんの調子が悪くなってしまうと本末転倒です。
最近はシニア犬を預かってくれる老犬ホームも増えてきました。
体力的にも精神的にも疲れたときは介護のプロにお任せします。
経済的に難しい場合は、身内の方に1日だけでも良いので預かってもらうのも1つの方法だと思います。
どこかに拠り所ができると、精神的にもとても楽になります。
今回の内容が、夜鳴きやトイレでお困りの飼い主さんの参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!

サプリをやフード、漢方などを飲ませる場合は、飲ませてから2週間位は、効果が出るか様子をみてあげてください